こんにちは。
アートメイクアーティストのキムゆいです。
この度、色素についてのコラムを執筆させていただくことになりました。
今回は私のお気に入りの色素で、特にマシンパウダー施術で使用している「Blond 2 Brunette Set」についてお届けしたいと思います!
これから
- 色素の種類
- 構成されている顔料から見たBlond 2 Brunette Setの特徴
- 特にどのような方に第一選択として使用しているのか?
以上の3つのトピックを通じて、その魅力をご紹介します。
長いコラムになったのですが、色素にご興味のある方はぜひ読んでくださったら嬉しいです!
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①色素の種類
Blond 2 Brunette Setは
- 色温度がウォームのゴールドブロンド
- 色温度がニュートラル/ウォームのダークブロンド
- 色温度がウォームのブロンズブラウン
- 色温度がニュートラルのディープブラウン
の4色セットになっており、フィッツパトリックの肌タイプ全ての方に対応した色素として作られています。
顔料濃度が高く、マシンパウダーやヘアストローク、手彫りの施術まで様々な技法に活用できます。
②構成されている顔料からみる色素の特徴
アートメイクの色素の成分は大きく分けると液体成分と顔料という色素の色味を決める粉の成分が入っており、このシリーズは7つの顔料が使用されています。
7つの顔料の種類を無機化合物で生成された無機顔料、有機化合物で生成された有機顔料で分類すると
『無機顔料』
- カーボンブラック/CI 77266
- 酸化鉄黒/CI 77499
- 酸化鉄赤/CI 77491
- 酸化鉄黄/CI 77492
- 酸化チタン/CI 77891
『有機顔料』
- RED254/CI 56110
- YELLOW97/CI 11767
このようになります。
そして顔料は物質ごとに色相や発色の質感、彩度、明度、入りやすさや褪色のしやすさ、除去のしやすさ…etc、様々な特性があり顔料の配合バランスで色素の色味や持ちなどの特徴が決まります。
ここではBlond2 Brunette Setの色味にフォーカスして、使われている顔料を色相と発色の特性で振り分けてみると
【黒】
-
カーボンブラック/CI 77266(無機顔料)
発色:はっきりとした黒 -
酸化鉄黒/CI 77499(無機顔料)
発色:カーボンブラックとくらべるとくすんでいてマットな黒
【赤】
-
RED254/CI 56110(有機顔料)
発色:透明感のある鮮やかな黄みの赤 -
酸化鉄赤/CI 77491(無機顔料)
発色:彩度の低い赤 くすんだ赤色でマットな質感
【黄】
-
YELLOW97/CI 11767(有機顔料)
発色:透明感のある鮮やかな黄色 -
酸化鉄黄/CI 77492(無機顔料)
発色:彩度の低い黄色 くすんだ黄色でマットな質感
【白】
-
酸化チタン/CI 77891(無機顔料)
発色:透明感のない白でマットな質感
というように分けることができ、茶色を構成する黒、赤、黄にははっきりとした色の顔料とくすんだ色の顔料の両方が使用されています。
色素ごとの顔料の構成は以下の通りです。
このように、このセットは有機顔料と無機顔料がバランスよく配合されたハイブリッド色素で酸化鉄の含有量が多いところ、有機顔料の赤、黄、無機顔料の赤、黄、黒もカーボンブラックと酸化鉄黒のはっきりとした色味の出る顔料と、くすんだ色味の出る顔料の両方使用されていることが持ち味です。(GOLD BLONDは黄色は有機のみ)
一般的に、ハイブリッド色素の中では、有機顔料の鮮やかさを抑えて、柔らかい色味を出すために酸化チタンがよく使われます。
酸化チタンは他の顔料と混ざることにより色素全体の明度を上げる働きと彩度を下げる働きをします。そのことにより、鮮やか過ぎず柔らかく明るい色味を作り出す効果があります。
この酸化チタンは適量であれば美しい仕上がりをもたらしますが、量が多すぎると透明感が失われベタっとした定着になったり、明度の高さから肌に対して目立ちにくい色味になってしまうことがあり使用量に気をつける必要がある顔料になります。
Blond2 Brunette Setでは、酸化チタンも使用されていますが(ディープブラウンを除く)1つの色素に対して2種類以上の酸化鉄が含まれています。
酸化鉄はくすみのある色味をもつ顔料で、酸化鉄が有機顔料と混ざることにより有機顔料の鮮やかさが抑えられます。
そのため、Blond 2 Brunette Setは酸化チタンだけに頼ることなく肌に馴染む柔らかい色の仕上がりを実現することができる色素になっています。
③特にどんな方に第一選択として使用しているのか?
どんな方にも使用できる万能な色素ですが私は特に
- シニアの方
- 角質や表皮自体が薄い方
このようなお客様には第一選択で使用しています。
『シニアの方』に選択する理由
私はシニアの方に施術を行う際には以下のような条件がある場合、中間色のブラウンや少し明るめの色をお客様におすすめしています。
- 白髪染めをしている
- 普段、髪色を茶色に染めている
- 色が抜けた際に髪色が明るくなりやすい
- 眉毛の色を黒やダークブラウンなど、暗い色を希望されていない
理由は、白髪染めをされている場合、徐々に白髪染めが色落ちして髪色が明るくなってきた際にその髪色よりも眉が極端に暗いと眉の印象が強くなりすぎてしまうことがあるからです。
そのため、条件があう方には中間色のブラウンやすこし明るめな色素をご提案しているのですが、色素の選択において赤色と黄色の構成が有機顔料の赤と黄のみで構成され、黒の顔料の割合が少ない明るく鮮やかな発色の色素を使用すると鮮やかさが強いために雰囲気やお肌に馴染まない発色に仕上がることがあります。
また、淡さや明るさのある仕上がりを重視して酸化チタンの割合が多い色素を使用すると、明度が肌に対して高すぎて、肌への発色が弱くなり、パスを重ねすぎることで酸化チタン特有の質感が影響し、仕上がりがベタっとしてしまうリスクがあります。
そのため、その場合にはBlond2 Brunette Setの
- ゴールドブロンド単体
- ダークブロンド単体
- ゴールドブロンドとダークブロンドのミックス
色素や組み合わせを使用することがあります。
ゴールドブロンドとダークブロンドは、明るさを保ちながらも発色が良く、酸化鉄の効果によって、鮮やかすぎない柔らかな色合いを実現することができ、シニアの方にも施術直後から自然に仕上げることができます。
『角質や表皮自体が薄い方』に選択する理由
肌質の違いによって針やマシン、マシンの速度、色素の構成を考慮して選ぶようにしており『角質や表皮自体』が薄い方の場合は鮮やかさが抑えられた色素を選択しています。
アートメイクの顔料は、定着すると表皮を通して私たちの目に見えるようになります。
その表皮を顔料の上にかぶさるフィルムとして考えると、表皮の薄い方は色素の上に覆いかぶさるフィルムが薄いため、有機顔料の割合が多く、カーボンブラックや酸化鉄黒の黒顔料の割合が少ない鮮やかな色素を使用した場合、鮮やかさが顕著に現れ、肌に馴染まない発色になることがあります。
特にフィッツパトリック肌タイプ1〜2のようにメラニンの量が少ない方では、この影響を強く感じることが多いです。
そのような場合は鮮やかさが抑えられたBlond2 Brunette Setの色素を使うと角質や表皮が薄い方にも柔らかい自然な発色で仕上げることが可能です。
長くなりましたがここまでお読みくださり、ありがとうございました!
施術での色素選択での悩みが解消できたり、新たな選択肢として参考になれば嬉しいです。
Writer Profile

キム ゆい
アートメイクアーティスト。
東京を拠点にプレイヤー、講師として活動。
『感覚ではなく、理論で行うアートメイク』をテーマに、根拠に基づいた施術のための知識と技術の講習を行っている。
また、自他共に認める「ツールオタク」で針や色素の研究にも情熱を注いでいる。
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